狂犬病ワクチンって絶対打たないとダメ?副作用と予防接種の免除について
「副作用が心配だから狂犬病予防注射を打ちたくない…」といった相談をよくいただきます。そこで今回は、狂犬病予防ワクチンの副作用ってどんな症状?ということから、狂犬病予防接種を1年間免除するための猶予証明書について当院の獣医師に聞きました。
狂犬病ワクチンの副作用について
狂犬病の注射をした後に、愛犬の体調が悪くなることはありますか?
個体差もありますが、狂犬病予防を含むすべてのワクチンに副作用の恐れがあります。
狂犬病予防ワクチンの副作用の発生率は、混合ワクチンよりも低いとされていますが、万が一に備えて午前中に接種を受けるようにおすすめしています。
狂犬病ワクチンの副作用にはどのような症状がありますか?
狂犬病ワクチン接種当日〜数日間は、少し元気がなくなることがあります。他にも、
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
などの症状が報告されています。副作用が発現するタイミングとしては、狂犬病ワクチン接種後6時間以内が過半数を占めています。
また稀に、以下のようなアレルギー反応やアナフィラキシー反応が表れることもあります。
- 顔面の腫れ
- 蕁麻疹
- 呼吸困難
- 痙攣
アレルギー反応やアナフィラキシー反応は接種後30分以内に起こる可能性が高いとされていますので、少なくとも接種当日は愛犬と一緒に過ごしてあげてください。
どのような犬に副作用が出やすいですか?
1歳未満の子犬と10歳以上の老犬に副作用が出やすい傾向にあります。また、狂犬病予防ワクチンは大型犬にも小型犬にも同じ量を注射するため、小型犬など体重の軽い犬種は副作用が発現しやすい傾向にあります。
狂犬病ワクチンの副作用による死亡例はありますか?
狂犬病予防注射の副作用による死亡例は、当院にはございません。しかし、日本国内における死亡例はいくつか報告されています。
接種後に元気がなくグッタリしているのですが、すぐに病院へ行った方がいいですか?
比較的に、ワクチンの接種後に元気がなくなってしまう事はよくあります。しかし、普段の様子と比べて極端にグッタリしている場合や元気がない状態が続く場合は、接種を受けた動物病院に相談をしましょう。
狂犬病ワクチンの必要性とは
なぜ日本で狂犬病ワクチンが必要なのですか?
狂犬病流行地域における主なまん延の原因は、犬をはじめとした動物を媒介とした感染です。狂犬病は人から人への感染はしませんが、狂犬病ウイルスを持つ動物が人間の傷口を舐めただけでも感染する可能性があります。そのため、狂犬病の人への感染を防ぐために飼い犬への予防注射が必要とされています。
狂犬病は一度発症すると、ほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。2020年5月22日には、日本国内でも14年ぶりとなる狂犬病の発症者が確認されています。
本日(5月22日)、豊橋市及び静岡市から、フィリピンより来日した方が、現地で狂犬病ウイルスに感染し、国内で発症したことが以下の通り報告されました
厚生労働省HP
アジアを含む世界のほとんどの地域では依然として狂犬病が発生しており、日本においても輸入感染の危険がありますので、狂犬病予防ワクチンは接種しましょう。
狂犬病ワクチンを打たなかった場合どうなりますか?
獣医師の判断により狂犬病予防接種が免除された場合を除き、飼い犬に狂犬病予防注射を受けさせなかった場合、20万円以下の罰金の対象となります。
2019年には狂犬病予防法の違反により174件もの検挙数が報告されています。
もし狂犬病予防接種を忘れてしまった場合は、お早めに獣医に相談しましょう。
参照:警視庁「令和元年における生活経済事犯の検挙状況等について」、厚生労働省「狂犬病予防法(◆昭和25年08月26日法律第247号)」
狂犬病ワクチン接種の免除について
子犬や老犬でも絶対に打たないとダメ?
獣医師の判断により狂犬病予防接種が免除されることがあります。
免除にはどのような条件がありますか?
過去に狂犬病予防注射で重い副作用が出たなど、飼い犬の生命や健康に危険を及ぼす可能性が考えられる場合に免除されます。
「狂犬病予防注射実施猶予証明書」はどこでもらる?
「狂犬病予防注射実施猶予証明書」は動物病院にて発行できます。ただし、猶予が必要かどうかについては診察を行う獣医師の判断に委ねられますので、まずはご相談ください。
愛犬がヒトを咬んだり犬同士でケンカしてしまった際、その相手から狂犬病の予防接種をしているか問われることがよくあるようです。そしてそれは、ご近所トラブルにもなりかねません。
愛犬はもちろんご自身のためにも、健康な子には年に一度の狂犬病の予防接種を心がけましょう!